“ばいきんまんはいつも負けるのに、どうしてアンパンマンと戦うの?”

こんな問がアンパンマンの公式サイトに投げかけられた。

悪役だから戦うのは当たり前だろうと思うかもしれないが、公式サイトの回答はそんな単純なものではなかった。

“ばいきんまんは、アンパンマンをやっつけることが生きがいなので、何度やられても、またアンパンマンと戦おうとします。”

とのこと。

これは単純な答えなようで、実は奥が深い。


――何の為に生まれ何をして生きるのか。

アンパンマンの主題歌『アンパンマンマーチ』の一節。

これが実は重要なキーワードとなっている。

アンパンマンの世界では『何の為に生きるのか』を自覚していない生物は、自信に宿る“いのちのほし”の輝きが失われ、やがて消えてしまうという。

これは映画『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』で明らかになっている。

つまり、ばいきんまんはアンパンマンをやっつけることで“生きがい=何の為に生れて何をして生きるのか”を見出し、アンパンマンワールドで生きている。

悲しいことに、アンパンマンをやっつけるという生きがいを失えば、必然的にばいきんまんの存在価値がなくなってしまうのだ。

それはアンパンマンワールドでの“死”を意味するのかもしれない。

逆にアンパンマンは人を助けることで生きがいを見出している。


お気付きだろうか。

アンパンマンは、ばいきんまんの悪戯によって困っている人を助けるという“生きがい”を持ち、アンパンマンワールドで生きているので、ばいきんまんを失えば生きがいを失い、生きていけなくなるのである。

つまり、アンパンマンとばいきんまんは、持ちつ持たれつの関係で成り立っているおかげで「何の為に生きるのか」を見いだしているといえるのではないだろうか。

ばいきんまんが、アンパンマンにいつも攻撃を仕掛けつつも必ずやられ、そうは言っても決してお互い殺さない対処理由には実はこのような経緯があるからかもしれない。